見た映画を記録する

毎月観た映画と映画以外を記録しています。

2022年5月に観た映画や、映画以外

 ついに5月まで辿りつきました。いま2022年6月なので、正当な部分の感想を書いているということよ。この2年くらいでリアルタイムに追いついたの初めてなんじゃ…えらい…えらすぎる…それというのも時間があるからです。5月は本当に時間があったので、めちゃくちゃな点数の映画や演劇や小説やミュージカルを見たり読んだりしていました。毎月こうありたい。

 4月から引き続き、韓国ミュージカルに真剣にはまりかけていまして、それに私がめちゃくちゃ好きになっちゃったイジュスンさんという俳優の方がこんど出る公演がふたつも決まっていて、気持ちだけはもう渡韓するしか!です。実際どうしよう。めちゃくちゃ迷ってる。それはそれとしてひさしぶりにドラマを完走してそれにもずぶずぶとはまっています。元気と時間があるとこうなるんだなあ。常にこうありたい。

 

☆2022年5月に観た映画(4本)

1. クローゼット

klockworx-asia.com

 これも劇場公開の頃みたいけど映画館に行くのはまだ無理かな~と思って断念したもので、このとき初めて観ました。熱血司祭に続いてセカンドキムナムギル。一応ホラーで、怖いシーンはしっかり怖いんですが、キムナムギルが出てくると突然なんか雰囲気が変わってしまって、怖くなくなってきて、いいのかよ、と思いつつ、おもしろかったし、キムナムギルはいい俳優だなと思った。室長、カルトのネオ様みたいだった。ていうかクローゼットという映画自体が、ホラーなんだけど途中から怖がらせるよりもおもしろがらせる方に舵を切ってしまう感じが白石監督作品みあるなって思った。すごい好きな感じ。韓国映画らしくエンタメの中にも社会に接地するところもあり、祈祷シーンもあり、めっちゃよかったな。劇場で観たらもっと怖かったかもだけど、配信だったのでおもしろかった。映画見終わって部屋の電気つけたらちょうど部屋のクローゼットを開けっぱなしにしてあって本当にぞっとした。

 

2. タチャ イカサマ師

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09CKBJKT5/ref=atv_dp_share_cu_r

 こないだお休み取って一日映画観る日にしたときに見た3本立てのうち1本目。すごくおすすめしていただいて、その通りすごくおもしろかった。2007年の映画だな~と思うところもあるんだけど、めちゃくちゃ長いのに物語はきゅるきゅる動いて、全然飽きない。長いこと連載してる漫画みたいだった。若いスンウさんめっちゃかわいかった。調子乗ってるところもかわいかった。最初ルールもよくわからんし…と思っていたけど、札がひっくり返るのをどっちだ!?どっちだ!?ってどきどきしながら見つめることに最後にはすっかり楽しくなってしまって、こりゃああぶねえや、と思いました。物語が長いから序盤でかけられたヒントをすっかり忘れていて、回収されたときの気持ちよさもよかった。

 

3. 感染家族

www.finefilms.co.jp

 これは私が映画館で韓国映画を見始めた2019年公開の映画だったので、まだ韓国映画ならなんでも見る!というわけでなく、ちょっと気になってはいたけど見なかった映画でして、やはりこのとき初めて観ました。3本立ての2本目。サードキムナムギル。それで、これがほんとにめっちゃくちゃ好みタイプのゆるっゆるゾンビ映画だった。ロンドンゾンビ紀行がすごく好きなんですけど、大好きゾンビ映画ランキングでロンドンゾンビ紀行の次くらいには付けてくる。いつ陰惨な展開になるんだよ、と思うんだけど、これが、あんまり…ならないんだな!!!ゆるゾンビ映画だから!いつまで経ってもゾンビがキャベツ食ってる。このゾンビが毒戦でドンウだったチョンガラムくんなんですが、めちゃくちゃかわいくて、あぶあぶキャベツ食っているところが本当によい。どきどきはらはらもそのうちちょっとする。でも基本的にゆるい。そこが好き。

 

4. 新感染半島

gaga.ne.jp

 これも観たいなと思っていたけど劇場で見逃したやつ。3本立ての3本目。ちょっとあの…ほんとに申し訳ないんですけど…クギョファンの話だけしてもいいですか…?後述しますが5月はD.P.を完走して、アンジュノとホヨル先輩めちゃくちゃよかったな、と思っていたんですが、俳優クギョファンのことは、ホヨル先輩を演じたよい俳優、としか思っていなくて、カンドンウォンには備えつつ、完全に油断して半島を見始めたところ、出てきた瞬間銃を咥えているソ大尉に、あ、だめだ、好きだ、だめだめちゃくちゃ好きだ、となってしまい…………カンドンウォンは大丈夫、きっと生き延びてくれるだろう、でもソ大尉は?どう?めちゃくちゃ死にそうじゃん!?それに本当に精神がぐらぐらでめちゃくちゃ魅力的だ、待って聞いてない、ホヨル先輩じゃないときのクギョファンもこんなにめちゃくちゃに魅力的だなんて聞いてないよ…!!!!!!!って思って、クギョファンからもう目が離せなくなっちゃいました。えらい地位のあるひとのはずなのに、ずっとひきつったような笑顔なのも、こわいし、だいたい体格からしてもさしで闘ったら負けちゃいそうだもんね。きっといろいろなことがあったんだろうな。その過程で世界に絶望してしまったんだね。好きだ。好きすぎる。クギョファン…好きすぎる…という気持ちになった映画でした。それはそれとして映画全体としては世界というものに対してやっぱり希望を持ってやっていこうや!というメッセージが感じられそのへんのバランスもよいなあと思った。何かのインタビューで、半島の監督がクギョファンは汚い商業映画には出てくれないと思っていた、と言っているのをたしか読んで、汚い商業映画て…と思いつつも、クギョファンの経歴などを読んでいると、こんなにめちゃくちゃ好きになれそうな俳優が配信で見やすい作品に出てくれてほんとにありがとうありがとうって気持ちになります。独立映画というジャンルがあるんだな。日本から観るのめっちゃ難しそう。

 

☆2022年5月に観た映画以外

・Trace U(イユルウビン、イヘジュンボナ)

 このころ、スリルミーの前後の時間帯で配信しているので…と教えていただき、トレイスユーも配信を追い始めました。トレイスユーはスリルミーと同じくふたりミュージカルで、ウビンとボナというふたりの登場人物がいるんですが、スリルミーよりも更に誰と誰のいつの公演だったかが重要で、なぜならペアによって結末が全然違った感じになることもあるからです…これは好みがあると思うんだけど私は演劇の一回性というやつを感じて現象としてめちゃくちゃおもしろいと思っている。今日このとき咲いた花は二度とふたたび開かない、みたいな儚さを感じて…

 それはそうと筋などは教えていただいたものの、このように途中の台詞とかも結構違うので、スリルミーよりも更についていかれん、となるかと思いきや、まあついていけてはいないんですが、ミュージカルなので、歌に乗せてある感情が拾えてれば物語に全然十分以上についていけて、ミュージカルという媒体ってめちゃくちゃ力強いじゃん、こっちの首根っこを引っ掴んで物語と一緒に引っ張り回してくる…と思いました。このとき観たペアは、ウビンがかなりおとなっぽい感じで、ボナはすねたようなかわいさで、でもふざけたようにしてばんばん指鉄砲で撃ってくるウビンが、最後にみせる本当にうつろな顔にめちゃくちゃぞっとした。プロジェクションマッピングがかなり効果的に用いてあって、そういう舞台装置もかなりおもしろい。あと生バンドが後ろにいて、ペアによってはバンドをいじったりしてるのもおもしろい。トレイスユー、おもしろいミュージカルです。

 

・スリルミー(イジュスン×イソクジュン)

www.youtube.com

 ジュスンさんとソクジュンさんはプレスコールの動画がいっぱいあったのでいっぱい観てください。この回を観て、私はイジュスンさんという俳優のことが本当に本当に大好きになりました。なぜなら、この回のジュスンさん私は……彼のことを10で言うと1しか好きじゃなかったからです!!!!!!!これは本当です、インタビュー動画で言っていたので…前の週が好き度無限大だとしたら(これも本当にヒョンジンさんが言っていました)この週は好き度1だったんですよ。こんなに振り回されて、好きになっちゃわないわけがない。眼鏡を落としたのはおれたちじゃない、おまえだよ、といわれて、なに…???????????といっているところのじゅすんさんはほんとうに、ほんとうに、ほんとうに彼のことを憎んでいたと思います。99年の直前の아니, 아니, 아니...の本当に地獄の底から呼びかけてくるような囁き声、それなのにソクジュンさん彼は自分のことで頭がいっぱいで、ジュスンさん私はソクジュンさん彼のことを本当に見下して自分の力試しのおもちゃと思っていただろうけれども、ソクジュンさん彼の方もジュスンさん私のことを自分の優位性を湿すための変わったアクセサリーとしか思ってないからソクジュンさん彼はジュスンさん私の背中を撫でたりひたいにキスしたりそれがジュスンさん私は愛されてうれしいとかじゃなくて思い通りに彼が動いていてうれしいって感じで、だからジュスンさん私はさいごほんとうにゲームに勝った!やった!!!!という感じの99年だったろうに、ラストのラスト、公園で、こんど地獄から手を伸ばしてきたのは彼の方だったのだ…………という感じで、がしっとソクジュンさん彼がジュスンさん私の肩を掴んで暗転、で、カーテンコールで、肩に頭を!!!ああ!!!!肩に頭を!!!!本当に観客の情緒をめちゃめちゃにするのがお上手です。めちゃめちゃになりました。すぐヒョンジンさんノユンさん回との対比で語ってしまうが(ほんとうに鮮やかな対比だったので)ヒョンジンさんノユンさん回のラストはあんなに愛し合っていたのに、ヒョンジンさん私の手はノユンさん彼をすり抜ける、本当に悲しいラストだったんですよね。それがなんでお互いに地獄から現れては足を引っ張り合っているのさ。最高。最高。ありがとうございます。イジュスンさんは素の姿はほんとうにかわいらしくてそれなのにそのジュスンさんの頭の中からこんなに彼に興味がない私が湧き出てきたということじたいに感謝しちゃう。好きな俳優だ。好き。ひとはこうやって沼にはまるんだなって感じでした。

 

・TraceU(キムギョンスウビン、パクギュウォンボナ)

 この週のトレイスユーは、前に観たやつとは全然違って、ウビンとボナは本当に友達みたいに仲良しで、めちゃくちゃかわいかった。で、結末がまったく違っていて、噂には聞いていたけどこんなに全然違うのか!!!と思ってめちゃくちゃおもしろかった。この週のウビンとボナは、たぶんふたりでいっしょに外に出ることができたんですよね。水槽で手をばちゃばちゃしていたのもこの週だっけ…この前のときのトレイスユーは、ウビンとボナの分離度がひくめのように見えたけど、この回はなかよしのふたごって感じで、俳優同士の背丈とか雰囲気とか、歌声も近くて、そうか、こういうところもキャストシャッフルのおもしろさだよな、と思いました。

 

・スリルミー(キムヒョンジン×ペナラ)

www.youtube.com

 ヒョンジンさんとペナラさんもプレスコール動画がいっぱいあるのでいっぱい観てください。4週にわたってスリルミーを観てきましたが、このキムヒョンジンさんとペナラさんの回が一番もともとの演出意図に沿っているのではないかな~と私は思っています。王道、って感じだった。

 インタビュー動画でも言われていますが、ペナラさんは本当にかっこいいんですよね。体格も優れていて。キムヒョンジンさんはどちらかというと小柄な方なので、このペアは本当に彼と私が黒豹と栗鼠みたいに見えて(カラーリングもある)だけどキムヒョンジンさんの私は彼のことをほんとうに愛しているので、ほんとはそんなつもりじゃなかった、ふたり永遠に暮らしていければそれでよかったのに、失敗した、ごめんねリチャード、って感じの、あに、あに、あに…で、こんなに先週と違うことあるかよとまた思いました。最高。たのしい。あとこの上に貼ったプレスコールでも歌っている思い出せないあの夜のことのところ、ノユンさんとのペアのときは動画みたいにめちゃくちゃ自信たっぷりに女の子に会いましたねえって歌っていて、そのときもそういうのもあるのかよ!!!と思ったのに、この週のペナラさんとのペアのときは、ものすごく自信なさげに、彼がいないと何もできない、って感じで歌っていて、そんなにひとりのひとの中で解釈幅があることある!?すごい、キムヒョンジンさん…と思いました。この回はヒョンジンさんもペナラさんもめちゃくちゃ泣いていて、僕と組んでからキスをするあたりとか、99年とか、泣きすぎていて、ほんとうに今日はやばいのではないかという気持ちがすごくしました。こんなに毎週スリルミーを観ていたの、やばかったな。めちゃくちゃたのしかった。またこの夏のスリルミーも(もちろんできれば観にいきたいけど)配信してくれたらうれしいなと思います。

 

・D.P.

https://www.netflix.com/title/81280917

 DPに関しては、できれば項を分けて言及したい。私はドラマを見る才能がないんですが、DPに関してはものすごく先へ先へと引っぱられて、全6話を1週間というか実質5日で見切ってしまったくらい、切実に観た。ものすごくおもしろかった。と同時に、本当に痛ましくて、絶対に観た方がいいってわかっていたから口の中をぎゅうぎゅう噛みながら観ていたけど、そうでなかったら途中で観るの諦めて、重たいからまた今度、ってしてしまっていたかもしれない。しかし更にそれと同時に、主人公バディであるところのアンジュノとハンホヨルのほんとにほんとにほんとにほんとにキュートで応援したくなる感じがやばくて、今まさにやばいやばいと思っています。

 DPの舞台は2014年で、迂闊にも全然知らなかったのだけどなぜかというと韓国軍のなかでいじめを起因とした大きな事件が立て続けに起こった年、そのあと軍の中でも変化があり、しかしてDPの舞台はその2014年なのだということでした。DPをみているとき、同時にいくつもの気持ちがあるんだよね。そもそも軍隊が(この世のどこにも)なければいいと私は思っているけど、あるならあるで、その中はましであってほしいし、そもそもなんで韓国に軍隊が…て歴史をひもときつつ思うときこんな楽しんでいいのか!?とも思うし、しかして楽しいのは本当だし、ジュノとホヨルの活劇パートは本当に楽しい…しかしておそらくだけれども軍の中には(社会の中には?)どっちもあるのだ、ソクポン先輩みたいに、向こうも見えてて、でも自分にはそうじゃないとわかってしまったときどうすれば、アンジュノみたいな立場になったらどうすれば、せめて誰かのホヨル先輩になれるようにするにはどうすれば…って、みずからに引き寄せても思うところが多いし、そうじゃなくて今この世にもある、おそらくほとんどまったく同じ問題が至るところに、それに対してどうする、って、どうして何もしてくれなかったの?が、画面を越えてまっすぐ誰にでもささるし、しかして、ジュノとホヨルはまじで最高のバディだ、それは欺瞞とかおくすりのめたねの役割だけじゃなくて、たぶんここもほんとのところ、でも……書きながら泣きそうになってしまう……ドラマも5話あたりからずっと泣きながら見ていました。でもまた観たい。まだ全然わたしの中で感想がまとまっていないので支離滅裂です。もしまだ見てないけど手を握っててほしいというひとがいたらぜひ一緒に見よ。観てください。ホヨル先輩とアンジュノのこと大好きになっちゃった。シーズン2も本当に本当に期待しています。

 

・アッチェレランド

books.rakuten.co.jp

 5月、SFを読もうキャンペーンもひとりで始めてまして、それで読みました。だいたい10年以上前のサイバーパンクなので、ところどころ時代を感じるところもあるにせよ、ストロス自身がエンジニアということで、実際2009年でここまで見えていたのはすげえや、って思う。うしろむきなSFの楽しみ方。遠宇宙に行っちゃうあたりとか正直あーついてけんって思うけど、筋がめちゃくちゃ家族の3代記なのでそっちはわかりやすくて完全には置いてかれないようになっているのもうまい。おもしろかった。

 

・批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く

www.chikumashobo.co.jp

 図書館で借りて読みました。予約かなり待って、おお人気、と思っていたけど、読んでみたら人気の訳がわかった。めちゃくちゃ読みやすいし、おもしろい。私は批評というものをほとんどまったく読まない人間ですし、批評というものを完全にまったく書かない人間ですが、それでも批評をするモチベーションというものがちょっとわかったような気分になった。きっとすっきりした批評を書くことができたら本当におもしろいんだろうと思う。批評を読むモチベーションは引き続きあんまりわかっていないけど…

 

・西瓜糖の日々

www.kawade.co.jp

 おやすみの昼間にお酒を飲みながら読みました。めちゃくちゃ大正解という感じだった。小説と書かれているし、実際小説のようではあるのだけど、読者に対する作用としては散文で書かれた連作詩集に近い、と思う。たぶん。すくなくとも私に対してはそうでした。さらさらしていて、本当にあるような、ないような、地平線の向こうに不穏な影も見えて、でも足下からはよくわからないぼんやりした明るい光が差している、みたいな感じ。むかしからよく複数の本の冒頭に西瓜糖の日々が引かれていて、きっと好きであることはわかっていたけど、やっぱりな、って思いました。

 

・風にあたる

tankakenkyu.shop-pro.jp

 山階基さんの歌は、長い合宿が賞を取ったときに読んで、ちょうど私もその頃ルームシェアをしていたこともあって、そうだなあと思うところと私のルームシェアとは違うなと思うところがあり、気になってはいて、歌集が出たことは知っていたんですが、ちょうど2019年から歌集が置いてある本屋が身近でなくなってしまったこともあり、短歌を読むこと自体からも遠ざかっていて、このとき初めて読みました。はだざわりがさらさらしていて、叙情の波打ち際でゆびだけひたしている、という感じがして、やさしいひとだけどこころはひらいてくれないみたいな、そういう歌集だなと思った。そんなにたくさん気持ちは動かせない、という気持ちのときがあると思うのだけど、そういうときにめくりたい。晴れた河原でぼんやりとめくりたい。引っ越し作業の合間にぼんやりめくりたい。そういう感じでした。

 

・闇の左手

www.hayakawa-online.co.jp

 逆にこれまで読んでなかったんだって感じだよね。書籍を所有しているので、図書館から借りた本が切れたときだけちまちまと読んでいます。当然めちゃくちゃよい。わたし…闇の左手パロ…するかもしれない…読み終わったら…てくらいわれわれが当然大好きなやつだ。

 

・天の敵

www.ikiume.jp

 お借りした円盤で観ました(ありがとうございます!)。これを観ているときちょうど今度の再演のことがアナウンスされていてめちゃくちゃタイミングがよかった。おもしろかったのでネタバレはひかえますが、ド性癖シーンがあって(イキウメは欲私のド性癖シーンがある…)日々の中でふとそのところのことをちょっと思い出すこと、ある…

 

・女神様が見ている

www.ktofestokyo2022.com

 韓国観光公社のイベントで上映会があって、そこにいって1回、そのあと配信もあったので合計2回観ました。これもまた、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、めちゃくちゃおもしろかった……韓国ミュージカル、おもしろいものしかないのかもしれん……

 舞台は朝鮮戦争末期、韓国軍の兵士ふたりが北朝鮮軍の捕虜4人を輸送するために舟で出発するんですが嵐に遭い、無人島に漂着して、捕虜と看守が逆転し、…という導入のあらすじのところだけ読んで、どれほどつらい話だろう、と思うと、ミュージカル全体のトーンとしてはすごくハッピーで、たのしいミュージカルなんだよね、DPのところでも似たようなことを書いたけど、このものすごく重くて熱いテーマと楽しくてさくっとしたトーンが両立しているというのが本当に本当にすごいなと思う、そういうのをもっといっぱい観たりしたい。一番好きな曲は北朝鮮軍の下から2番目の兵士であるところのジュファと妹のところ。たぶんだけど、たぶんなにがどうものすごく幸運に転んだって、約束はかなえられてなくて、でもこのとき、ジュファの頭の中に去来した幸福な記憶はほんとうなのだけど、でも、実際にあってあり得たことであり物語ではない…………と思うとだいぶ厳粛な気持ちにもなる。でも物語は続く。ミュージカル、媒体として力が強すぎて、心の中に素手を突っ込んでめちゃくちゃかき回されるなあという気持ちになる。すごく楽しい。また観たい。できれば私がめちゃくちゃ大好きな俳優であるところのイジュスンさんがスノかジュファを演じているところが観たい。またこころが落ち着いたら追記するかもしれない。

 

・関数ドミノ

www.ikiume.jp

 シアターイーストで観ました。チケットを譲っていただいて2回観た(ありがとうございます!)。過去の関数ドミノをひとつも観たことがなくて、外の道WIPで配信してたやつとあと金輪町コレクションと外の道しか観たことがないのですが、それでだいたいイキウメってこんな感じかな~と思っていた感じと今作はだいぶ違っていて、びっくりした。けっこうドストレートこの世の話だった。浜田信也さんがものすごくよかった。黙っていて、舞台の上で、いろいろに立ったり座ったりしているだけでものすごい説得力があるというのは、あれはいったいなんなんだろう。ものすごく不思議だ。公演中なので致命的なネタバレなどは書かないようにしようと思いますが、ラストの慟哭、しょうじきわかりみある……と思って、大変身につまされた(だからなおのことこの世の話じゃんと思っちゃったのかな)。

 

・TraceU(キムジョングウビン、カンサンジュンボナ)

 この回こそは本当に前二回とも全然違っていた(つまり配信で観た3回とも全部まったく違っていたということです)。このときのウビンは、ボナよりもなんなら年下というか幼くみえて、あんまりしっかりしてないし、かわいい、と思っていたら、最後…

 トレイスユーは最後に劇中で出てきた曲を4曲ぐらいがーっと歌って終わるんですが、私は韓国語がほんとに全然わかっていないので、それが刀ミュでいうところの第2部というか、物語パートから独立しているライブパートだと思っていたんですよね。客席も立ち上がってコーレスもすごいし。だけど、このたびこの項を書くために初めてWikiを観たら、あのパートも物語の続きだったんだ!!!!!!このときのペアは、このライブパートも本当に物語の続きのようでした。とちゅうまでなんならウビンよりおにいさんぽく見えていたボナはもうめちゃくちゃになってしまって、ウビンを呼んで、そしたらウビンはイチゴ味チョコバナナウユを持って出てくるんだけど、ふたりでぴったり背中合わせになって歌って、ほんとうに幸福そうなのだけど、ウビンはずっとボナのことみてる、消えちゃうかもって顔でずっとみていて……本当におもしろいなと思った。全然違いすぎるじゃん、これまでの物語と。もう一回みたい。

 

・図書館的人生vol.2 盾と矛

www.ikiume.jp

 私はイキウメの物語の中で一番か二番くらいにやさしい人の業火な「懐石」が好きなんですが、なぜかというと、人間のことをこんなふうに見て、書くことができる人間のつくるもの、本当に信頼できるなあと思うくらい人間のいやなところを露悪的じゃなくてただそこにあるというふうに描いているなあと思うからなんですが、こっちの版の懐石もめちゃくちゃよかったな。あと、金輪町コレクションで初見のときはできあがっていく状況のショックがつよすぎたし、直前に箱男とか見ていて頭がぼーっとしていたからかもしれないけど、リピーターの含意がこちらの版ではよりはっきりしていたような気がして、よりわかりやすくこわくなっていて、それもよかったです。ひとえさんは何するかわからない(妖怪的な意味でも)って感じだったけど、古河さんはあきらかに人間だけど、ますます何するかわからんってかんじで、それも怖かった。やっぱ懐石好きだなあと思った。

 あと瞬きさせない宇宙の「幸福」、初見だと思っていたら、獣の柱の序盤のところだったんですが、あっ獣の柱か!知ってる知ってると思ったからこそ短編としてのオチの救いのなさにうわ~~~っとなっちゃった。よかったです。

 

 

 総じて5月、カロリーが高い。時間と元気があるとこんなにいろいろなものを観たり読んだりできるんだなあ。あと物語ではないのでここでは言及しませんが私がこの世で一番大好きな劇団であるところのパラドックス定数の野木萌葱先生のトークショーに行くなどもしていました。ものすごくおもしろかった。我ながら5月にこんなに正当に元気だったのは初めてかもしれません。6月も元気を出していきたいです。あと6月は地道にちゃんと感想を書いてゆきたいです。