見た映画を記録する

毎月観た映画と映画以外を記録しています。

2022年2月に観た映画や、映画以外

 2月もしごとは忙しかった覚えがありますが、このへんから正気に返ってというか、むしろやけになってきて、わりとまあまあ本読んだりしています。いいぞ。体力つけていこう。

 

☆2022年2月に観た映画(4本)

1. ディヴァイン・フューリー 使者

klockworx-asia.com

 ちょうどディヴァインフューリーの前売りが出始めた頃映画館に行きづらくなって、観たかったな、と思ったまますっかり時が経ってしまい、このとき初めて観ました。案の定おもしろかった。めちゃくちゃ元気になった。思ったより殴ってた。闇の司祭がなんかを沼に捧げるたびサメみたいなのが泳いでるのが見えていいな~と思っていたけど、最後の手がいっぱい出てくるところとか、本当に本当にクリーチャーの造形が好みで、めちゃくちゃよかったです。パクソジュンさんもめちゃくちゃつよくてよかった。アン神父もかわいかった。

 

2.ソン・ランの響き

www.pan-dora.co.jp

 Gyaoで観ました。話に聞いていた通り、これがもう、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、めちゃくちゃよかった。思ったより素直な話だった。伝統芸能、青年と青年、ときて、やっぱり覇王別姫のことを想起せずにはいられないんだけど、タイムスケールがソンランの響きはずっとずっと短くて、あの夏、あの夜、その数時間が、どれくらい深い深い傷になり得るだろうか……みたいな話なんです……ものすごくうつくしかった。あらゆるカットが本当に気持ちよかった。映画として手のひらの中に囲っておきたいくらいぺらぺらページをめくって楽しみたいくらいすごくきれいだった。

 アイザックさんのInstagramをフォローしているんですが、リンフンみたいなきついお顔はほとんど見せない(あたりまえかもだけど)きらきらアイドルの姿なので…夢みたいな映画だったな…と思う。物語はつらいんだけど、あまりにもうつくしくまっすぐに傷つけられたので、こういうふうになるようになっていたんだなあ、という気持ちになって、不思議とダメージを感じない、みたいな感じ…

 

3.エクストリーム・ジョブ

klockworx-asia.com

 映画館で2020年のお正月に観て以来、2回目に観ました。たぶんみんな怪物ではぎゅんさんの話してて見たくなったからかな…私はエクストリームジョブのオジョンセさん演じるチャンシクくんことテッドチャンとはぎゅんさん演じるイムベの組み合わせが当時めっちゃ好きでたくさんたくさん幻覚も観たものですが改めてみたら全然幻覚じゃなかった。ほんとになかよしだった。ね、チャンシクくん(だいたいテッドチャンなんて名前してるから悪いんだよ…なあにその名前…かわいい…)。よくできてる映画は何回観てもおもしろい。

 

4. JSA

cinerack.jp

 JSAもはぎゅんさんが出てる映画観たくて、このとき初めて観ました。

 まじめな話なんですけど、やっぱ朝鮮戦争を描いた映画、映画がめちゃくちゃよくできていて、ものすごくおもしろい映画であればあるほど、ちょっと待って、これ、わたしが(ここにいるわたしが)楽しんでいいやつか?という気持ちがないでもなくて、でも映画があるからわかるようになるぞ絶対にという気持ちになるんだよな…と思いつつ…結論なしです…結論が出るタイプの話でもないので…

 当然も当然なんだけど映画として本当におもしろくて、あとカメラが結構ぐるぐる回ってそういう意味でもおもしろいし、時系列の切り方とか、そういうことだったのか!って、青年たちはみんな素直で、そういってよければ本当に普通の青年なんだよね、若いはぎゅんさんもガンホさんもイビョンホンもむかしから本当にめちゃくちゃ良い、ていうか若はぎゅんさんほんとちっちゃくてよく跳ねる子犬みたいで本当にかわいい、でもだからこそ本当に本当に本当に苦しい映画なんだよ。でもめちゃくちゃおもしろいんだよ。矛盾しない話なんですけど…観てよかった。このへんの映画、避けていたというわけではないんだけど、あんまり観ていなかったので、観たいな。観よう。

 

★2022年2月に観た映画以外

ロミオの青い空

www.nippon-animation.co.jp

 Youtubeで無料配信しているとの噂を聞きつけ、こどものとき黒い兄弟を読んでめちゃくちゃおもしろかった記憶があったので、よっしゃ絶対観るぞ!と思って気合いを入れたはずなのに1話しか見なかったな…と書こうと思ったんですが、なんと今検索していたらあまぷらで全話見放題であることに気付いちゃった!!やったね!!観るぞう!!1話から悪者がおれは仲のいい家族が嫌いなんだよと行って畑に放火するなどしていて展開がめちゃくちゃ早そうでよさそうだなと思いました。

 

・12万円で世界を歩くリターンズ

publications.asahi.com

 私がこの世で一番大好きな劇団であるところのパラドックス定数の劇団員であるところの私がめちゃくちゃ大好きな俳優であるところの小野ゆたかさんはときどきブログを書いてらっしゃるのですが、今年に入って、ときどき読んだ本を紹介してくれるようになって、そんなの読みたいに決まってるじゃないですか。ということで、読みました。リターンズと書いてあるのの意味を迂闊にも読み始めるまでわかっていなかったんですが、12万円で世界を歩くという前作があり、そのコースを時間の経ったいまふたたび歩き、比較する…という本でした。郷愁の色が濃くて、旅行したいなって気持ちにはあんまりならなかったけど、年を取るとめちゃくちゃな旅行をするのが厳しくなってくるということはすごくよくわかったので、わかいうちにめちゃくちゃな旅行をするべきだなってつよく思いました。

 

老人と海

www.shinchosha.co.jp

 これも小野さんが読みましたとブログで言っていたので読みました。でも、もしそうじゃなかったとしても、いつかは読みたいなとずっと思っていて、ていうか図書館で借りるまでしたことあったのだけど、タイミングが合わなくて、そのときは借りるだけ借りて読まずに返してしまったのだけど、夏に読んでいたら本当にじりじりと暑かっただろうな、と思いつつ、でもものすごくあたりまえのことを書きますけど、ほんとうに鮮烈なので(新訳だからというのもあるかもしれない)冬でも全然暑い、ということがわかるので2月に読んでよかった。手が痛いこと、喉が痛いこと、背中が痛いこと、生でかじるカツオや、一緒に泳ぐ大きな大きな骨、最後の最後の締め方まで、ど好みだった。よかったね。人生にはまだまだ読んでないそして読んだら当然最高におもしろい本がたくさんたくさんあって。いい人生だ。まじで。

 

・鵜頭川村事件

www.kinokuniya.co.jp

 これも小野さんがおすすめしてたので読んだシリーズ。人が厭なタイプのサスペンス、自分では絶対選ばないタイプのジャンルなんですけど、読んでみたところこれがなかなかけっこうかなりおもしろくて、本当にありがとうございますって思った。最終的にめちゃくちゃ暴力になっていくんだけどその暴力の堰が切れるあたりの感じが私が普段好むタイプの映画と近くて途中まではどろどろ厭厭な感じだったのにそれだけに破滅してからの展開もよくてオチもなかなか好みだった。そしていま検索していて気付いたんですけど今年の夏わうわうでドラマ化するんですね。もしかして…もしか…して…いや…わかんないですけど…でも…キャストはまだ出てなかったです。

 

・白痴

www.shinchosha.co.jp

 2021年10月から読んでいた白痴をこのときようやく読み終わりました。途中ちょっと休んでいたときもあったけどのべ5ヶ月かかってるな。どうしてこんなにかかったかというと、これまで読んだことあるドストエフスキー罪と罰とかカラマーゾフとか悪霊とかは、けっこう間断なくなんらかの事件とかどきどきするできごとが起こり、心の安まる暇がないジェットコースターという感じでそれが大変好みだなあと思っていたのですが、白痴は基本的にずっとロシアの社交界が舞台なんですよね。来る日も来る日も、誰かのお屋敷に行って、誰かの噂話をする、パーティをする、みたいな…ときどき札束を焼いたりしているけど…それが私にはややしんどくて、それに主人公のムイシュキン公爵が大変かわいいんだけどその社交界のルールから外れた言動をしているのがいたたまれないことがときどきあり…でも、もし、私と同じように白痴を読んでいて、いやこれほんとにおもしろいか?大丈夫か?と思っているひとがいたら、絶対絶対絶対絶対絶対絶対最後まで読んでくださいといいたいです。未読のあなたの読後感を損ないたくないのでこれ以上なにも書きませんが本当におもしろいので読みましょう。読んでください。百合もあります。

 これでドストエフスキー5大長編も残すところあと未成年だけなんだけど未成年こそは本当におもしろポイントを掴みかねていて2022年6月現在ちょこっとだけ読んで手をつけかねている…未来の私…未成年のおもしろポイントを教えてくれ…とにかく白痴は本当に読んだ方がいいですよ。おもしろいので。

 

・卍

www.shinchosha.co.jp

 小野ゆたかさんが読みましたと言っていたので読みましたシリーズ。あのね、大谷崎に対して言うことじゃないんだと思うんだけど、ほんとうに、ほんとうにおもしろいですよ。この世で一番当然のこと言っちゃった。でも谷崎、読みたいな、読んだらおもしろいに決まっているだろうな、と長年思っていつつ、今ひとつ手をつけかねていたので、小野さんのおかげで読めて本当によかった。大好きです。

 ところで物語ですが、ど百合です。ほんとになんか…これも大谷崎に対して言うことじゃないんだけど…女の子どうしってこの子とずっといるとだめになっちゃうんだよな、この子といるときの私、好きじゃないな、この子に振り回されてばっかりだ、って思いながら、どうしてかどうしても離れられないことってあるじゃんか、それがそっくりそのまま型抜きして持ってきてあるんだよね…すごいよね…文庫の装丁もよい。あと私は生まれてこの方東京より西に足を踏み入れたことが数えるほどしかないので、大阪のおんなのひとの喋り言葉が(解説を読むと、卍を書いた頃、谷崎は大阪に引っ越したばかりで、谷崎もエキゾチックなものとして関西の言葉を写しており、ところどころ間違っているところもあるとのことなのだけど)ほんとにどきどきしちゃうんだよね…

 

冒険者たち

www.kaat.jp

 人生2回目のKAATでした。卵から孵って初めて観た劇団がパラドックス定数だったからなんとなくこれまでおもため演劇ばっかり観ていたんだなあ、って、冒険者たちを観て、こんなにかるくてあかるくてあったかくてふわふわたのしい演劇もあるのか!!!って、こういうのも好きかもって、すごく思った。神奈川県役の成河さんもほんとにくるくると着替えて演じて歌って踊って、すごく好きになっちゃうって思った。。園長のことも好きになっちゃうって思った。ていうか園長って何…ゆるすぎる…伊豆は静岡でしょ…まあいいのよ。そういうのは。でも六根清浄、六根清浄、って登っていくとき、白龍が本当にすごく大きい桶をしょっていたところはけっこうぞっとしたし、みんなで祈るところ、蝶が来るところとか、何の涙かわからん涙が出そうだった。でも基本的にずっと笑ってた。こういう演劇もあるんだなあ…お~じゃにとぅざうぇええええ~~ってずっと心の中で歌っちゃう。せっかくだからyoutubeにある動画も見てって。

youtu.be

 

・旅する力 深夜特急ノート

www.shinchosha.co.jp

 これも小野ゆたかさんがおすすめしてたシリーズ、かつ、深夜特急を一冊も読んだことがないのにここから読み始めちゃったシリーズ。でも、逆にここからでよかったのかも、って思った。深夜特急を書くことになった経緯とか、その前に何してたのかとか、そのあとに何していたのか、とかが、本当に平易で読みやすい言葉で書いてある。読んでよかった。旅してみたくなっちゃった、とどうじに、こういう旅、私にはできないだろうな、ということもすごくよくわかって、うちのめされるような気持ちにもなった。沢木耕太郎、名前は知っていたけど、ひとつも著作を読んだことがなかったけど、まず文章が本当に水みたいに読みやすくて、この文章で書かれたらなんでも読んじゃうだろうな、と思って、文章の巧さにくらくらした。

 

・熱血司祭

culture-pub.jp

 Gyaoで途中まで追いかけていたんだけど、途中で更新スピードについていけなくなっちゃった…でもチャンスがあったらまた追いかけたい。おもしろそうだったので。イハニおねえさんの男社会で生きてくぜ感がえぐくてこのこれきっとあとでなんかめっちゃあるんだろうなって思ったしそのきっとひっくり返されるなんかを見届けたい。あとキムナムギル、わたしのファーストキムナムギルが熱血司祭でよかったのかっていうと完璧よかった。こんなにうつくしいのにどうしてこんなにむちゃくちゃなことするんだよ。足が長いし暴力がすごい。連載誌が青年漫画雑誌。弟分の司祭となかよしなのかわいい~と思っていたけどそのあとからやはりなんだかんだ仲良くなるみたいでそれもチャンスがあったらまた追いかけたい理由のひとつ。

 

・ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

www.hayakawa-online.co.jp

 私がこの世で一番大好きなSF作家が小川一水だって話、したっけ。まだしてなかったら今するね。SFの卵から孵って最初くらいに読んだのが小川一水で、いまもずっと好き。それに、小川一水の特に好きポイントというか、特にずっと好きでいるポイントとして、書くものが、ずっと未来へ、というか、今から向かっているから、ほんとに信頼できるから、小川一水が書くものを読むと、人間を信頼できるような気持ちになるから、小川一水作品が人間を好きだから、っていうのがあります。

 好きな作家の項で好きじゃないかもしれないものに言及するのはなんですが、この数年のハヤカワの百合SFの売り方、ちょっと、そんなに読んでないのにこんなこというのもなんだけど、ちょっと信頼できないなって思うところがあって、それで、小川一水の新作であるにもかかわらず2020年に出た本をここまで積んできて、でも、なんとなく、そろそろ読んでいいんじゃないか、って思って、2巻も出るし…と思って、図書館で借りて読んで、これは本当の話なんだけど、おもしろすぎて好きすぎて読みながら本当に泣いた。悲しいとか、胸に迫る話じゃなくて、純粋に物語がおもしろいことがうれしくて泣いたのなんて初めてだよ。感情がものすごく混乱した。

 ツインスターサイクロンランナウェイは百合です。女の子と女の子のラブストーリーなのね。漁もする、恋愛もする、宇宙も飛ぶ、それで、あと、ツインスターサイクロンランナウェイのめちゃくちゃ最高大好き信頼できるところは、女の子と女の子が手に手をとりあってふたりでハッピリーエバーアフターするのに邪魔なもの、それは家父長制だろ!!?????って一ミリも誤魔化すことなくばばーんと書いてるところなのね。ほんとにそう。信頼できるから、私が信頼しているみなさんにも読んでいただきたいです。かわいいし。テラもダイもめちゃくちゃかわいいけど私は特にテラさんが好き。それに宇宙も飛ぶ。想像力の網を好きなだけ広げてお魚たくさん取っちゃおうよって言ってくれる。好き。大好き。小川一水の書くもの本当に信頼できる。時代と一緒に走ってくれるSF作家大好き。信頼できる。ツインスターサイクロンランナウェイは最高。読んで。読んでほしい。

 

 こうして振り返ってみると2月は普段の月と比べてめちゃくちゃ小説読んでいるな。わりと全面的に小野ゆたかさんのおかげです。ありがたい。好きな俳優が小説の趣味もいいって最高か。