見た映画を記録する

毎月観た映画と映画以外を記録しています。

2020年1月に見た映画

 本当は映画ごとに記事を分けたいと思っていましたが、無理でした。

 そもそも私はひとつの作品に対して、感想が固まるのがとても遅いです。映画を見終わった瞬間は何の引っ掛かりもなかったことに対して、何か月も経ってからもしかしてそういうことだったのか、と気付くことなんてしょっちゅうです。

 

 だからというわけでは別になく、書かなきゃなあと思っているうちにどんどん次の映画を見てしまっただけですが、さしあたり月ごとにまとめるというところで手を打ちましょう。はい。

 2020年1月は10本の映画を見ました。単純計算みっかに一本。これは私としては驚愕すべき数字です。ひとつには、去年末に2019年の映画を選ぼうとしてそうしようと思えば映画館で見れたはずなのに逃していた映画の多さにおののいたからというのもあります。あとアカデミー賞ノミネートとかの記事を見てせっかくだから見とくかと思ったものも多いかも。週末がわりと暇だったのもある。見た順に書きます。ネタバレもあります。

 

1.新感染

 Gyaoで見ました。

 間違いのないおもしろさ、って感じ。そもそも私はゾンビものがわりと好きだし、コンユだしマブリーだし。韓国映画の子役って本当にみんな演技が信じられないくらいうまいし凄惨な映画でも結構ふつうに出ていてびっくりする。

 

2.エクストリーム・ジョブ

 シネマートで見ました。

 おもしろかった!ギャグはちょっと私の好みと違いましたけど普通におもしろくて、あと応援上映でもないのに劇場でみんなが笑ってるというのがすごく新鮮で力のある映画だと思いました。最後の方の麻薬班のほんとはすごいんだよというのが他の人の口から明かされ戦闘シーンと重なっていくところがいやもうベタながら絶対好きなやつ!って感じでよかった。ヨンホヤかわいいよ。イハニさんちょうよかったです。アクションが重くてど派手ですごいよかったです。ノワール映画の刺し刺され、ってのも好きだけど、今回みたいな魅せるアクションというのも好きだなあ、そしてだいぶ見え方が違うもんだな……と思いました。

 あと、ラストのみんなが表彰されるところが、警察の表彰シーン、わたしこれまで生き残るための3つの取引の後ろめたくて空虚な表彰のイメージが強かったので、こんなに晴れがましくてハッピーな表彰式が!!と思ったけどほんとは多分表彰式というのはそういうものだ……

 絶対お腹空いてる状態で見ない方がいいよ、という前評判を目にしたので、新大久保のチキン屋さんでごはんを食べてから行ったんですが、チキン最小単位が半羽?とかで、ものすごくお腹いっぱいになって、ひとりで行くとこじゃないんだな…と思いました。失敗。でもすごくおいしかった(大根もおいしかった)。

 

3.バーフバリ 伝説誕生

 Gyaoで見ました。

 王の凱旋は映画館で見たんですが、伝説誕生もいつか見たいなって思いつつ2年ほど経ち、そりゃまあストーリーは全部知ってて、でもやっぱすごくよかった……

 インド映画のダンスシーンはラブシーンの代替としても用いられるというのを王の凱旋を見たときには知らなくて、インド映画というのはとにかく踊るもんだとしか感じていなかったけど、シヴドゥとアヴァンティカの、あんなの、通り一遍のラブシーンよりよほどよほど耽美で露骨で煽情的、よくないでしょ、よくないよ……よすぎる……と思いました。シヴドゥには言いたいことがたくさんあるが神話だからと思って許しました

(許してない)。あとパパが生きていたらきっとさぞよい教育がなされていたことだろうに……とも思った……

 戦場シーンも酷いけど魅力的で、あんなに露骨に、神話だから、と思っても、私はバラーラに思いを馳せずにはいられないが……

 17インチのディスプレイで見たことが本当に悔やまれて、映画館のでかいスクリーンで見るために作られているんだなってすごく思いました。もしまた近くで上映があったら絶対行きたい。

 

4.工作 黒金星と呼ばれた男

 アップリンク渋谷で見ました。3回目でした。

 工作について私が語らずともそれはもう数多の言葉が尽くされているので、今更言うことはないんですけど、工作が公開された去年の7月ころ、私はまだ同じ映画を劇場で何度も見ることになんとなく罪悪感を持っていて、それで2回しか見なかったことをあとからとても後悔して、また観れる機会があったら絶対観たいと思っていたので、また映画館で見れてすごく嬉しかった。3回めなのに、というよりは、初回、2回目と、南北問題とか当時の冷戦構造の名残を含む時代背景とか、パンフレットの記事とかインタビューとかを読んで、どんどんいろいろな文脈が見えるようになって、でも工作の魅力、やはり最後にかけての、多層の文脈やしがらみや話の流れがありながら、それらを大胆にえいっとやって、人間と人間の強い感情のやり取りの物語になっているところだと私は思っているので、最初に見たときからもう絶対すごくおもしろいことはわかっていたけど、それでもやっぱ文脈読めるようになると映画から読み取れるものもどんどん増えて、それだけにえいっとやるところの感慨がどんどん増して、今回3回目だったのにたぶん今までで一番泣いてしまった。

 あと、昨年10月からチョジヌンさんにどはまりしたことによって、チェ室長の立場や心に思いを馳せることができるようになったのも大きいと思う。室長、そりゃあもうほんとうに組織と理念の間ですりつぶされて、先生がいるから我々は室長のことを途中で折れてしまった人、と思うけど、ほんとうに、ジヌンさんの大きい体に室長のロングコートといかつい髭がそろうとものすごく威圧感があって見えて、それでも抑制の効いた演技が室長のどうしようもない立場を過不足なく表現しているところが極めてよかったです。車で隣同士座って、先生が室長に言ったこと、本当は室長が局長に言えたらよかっただろう、それでも……室長のこころが曲がったところがきれいに見えて、前に見たときは先生に感情移入していたから、裏切られた、という思いばかり強かったけど、裏切った方のもう行くところまで行くしかないのだという感じがほんとうにしんどくて何度も噛みしめてそのたびごとに少しずつ違うおいしさのとっても良い映画です。出会うことができてよかったな……

 

5.パラサイト

 渋谷の東宝シネマズで見ました。

 twitterでも何度か言及しましたが、私の昔住んでいた実家はわりとひどい家で、半地下の家族にだいぶめちゃくちゃ感情移入してしまい、自分語りを経ずに感想を言うのが難しいので、感想は書きません。もっとあとになって、もう少しクローズなところでなら書くかもしれない。でもとにかくそれほど見るひとの感情を揺るがすタイプのむちゃくちゃすごい映画だと思いました。アカデミー賞のなんかなんでも取ったらすごく嬉しいな。

 

 

6.グッド・バッド・ウィアード

 Gyaoで見ました。

 見る前は、ウソンさんはハンサム、ソンガンホはパラサイトのひと、イビョンホンは……名前だけ知ってるひと……みたいな感じだったんですけど、いやユンテグ。。最強じゃん……ソンガンホが本当にかわいくて怖くて迂闊に触ると爆発するしパクチャンイだってそういうとこが好きで追っかけてるんだよね。わかる。

 ますむらひろしが好きなんですが、ユンテグは見た目も中身もヒデヨシに似てるなあと思った。目が細くてからだが丸くて、かわいくてふざけたことばっかり言っているけど価値観がふつうの人間と全然違うからぺろっと怖いことを言うところ。あとヒデヨシではありませんがアタゴオルの漫画に、賭け事で買ったら耳を切って背中にしょったホルマリンの大きな瓶に集めている猫、というのが出てきて、それのこともちょっと思いました。

 アクションのところでカメラがすごく揺れてあと砂ぼこりもめっちゃ立つんでいまいち何が起きているのかがわかりづらくて、そこだけちょっと不満ですが、もしかするとこれは西部劇リスペクト的表現なんだろうか。西部劇を見たことがないのでわかりません。

 

 

7.フォードvsフェラーリ

 渋谷の東宝シネマズで見ました。

 2020年そんなつもりじゃなかったのに気が付いたらその映画のことを考えてしまう大賞暫定1位です。車のこと全然わからないし、おとことおとこの強感情らしいのでとりあえず見に行くか……と思ったら、最初のケンがフロントガラスの割れた車で出ていたレースのシーンでなぜかもう既にぼろぼろに泣いてしまって、車のことは全然わからないけど、レースのことは多少わかるから、そういうことかな、と思ったけど、強感情というほどまっすぐにふたりだけというわけでもなくない?と思いきや、あの買い物袋から転がり出てきたものどもで殴り合うところ、あんなの実質……でもそれよりも、ケンのアクセルやブレーキのタイミングを、まだだ、まだだ、いま、って、シェルビーがトレースしているところ、7000rpmの世界にいちどにいけるのはひとりだけだけど、ほとんどおなじところにシェルビーは行くことができる、それって、何より代えのきかない人間同士じゃんか、と思って、おそろしくてすごくよかった……

 あとモーターレースのことほんとうに車が走る以上の知識がなかったので推測なんですが、マシンの整備をするひとびとも含めてチームで、車、レーサー、チーム、あと全体を見て指示を出す人、みんながすごく完璧じゃないと勝てない、というのが、私もしちょっとでも足を踏み入れたらすぐにはまっちゃうやつだなと思いました。車が止まって整備の人たちがいろいろ工具もってだーって走っていくやつ、そういうのすごく好きなので。

 HAPPYって速度を落とすところ、私は、サーキットの中でだけは必ず全てを手に入れられる男であったところのケンが、サーキットの中の勝利をすこしだけ、本当に一部だけ手放すことで、サーキットの外も含めて、全部を手に入れたところ、と読んだので、あとから他の人の感想を読んでけっこうとらえ方が違くて驚きました。そりゃまあ勝つに越したことはないけれど、人生は続く、レーサーだけがつよくても勝てない、次のレースがある、このレースに勝てればあとはもう何もいらないってタイプの分野ではない、ので、と思った……けど私の方が誤読をしているかもしれない。でも幸福な誤読なのであんまり積極的に解こうとは思わないです。

 映画館を出てから今もずっと、車というもの、生まれたときからもうずっと見てきたのに、大きい生き物みたいな、部分があって、外側があって、あらゆる細部にこころや技術を込めた人間がいて、精密に組みあがって動いているもの、みたいな、うまく説明ができないけど、とにかく車を見るときのこちらの感じ方が全然変わってしまって、自分でも驚いています。こんな引きずるつもりじゃなかった。

 

8.金の亡者たち

 シネマートで見ました。

 リュジュンヨルがとにかくすごい。リュジュンヨルのファンは全員見て。もう見てるだろうけど。って感じの映画でした。筋はまあまあ。私が株式の取引について全く詳しくなかったのでというのもあるかもしれないけど。それでもいろんなスーツを着たリュジュンヨルとか、だめだめで仕事ができないリュジュンヨル、いちご農家でおしりに椅子を括り付けてるリュジュンヨル、酒を飲みすぎて胃液を吐く(!!!!!!!!!!!!)リュジュンヨル、金を手に入れてめっちゃイキるリュジュンヨル、怯えてわめくリュジュンヨル、服を脱ぐリュジュンヨル、パーカーのフードをかぶって怪しい格好のリュジュンヨル、血まみれになるリュジュンヨル、得体の知れない笑みを浮かべるリュジュンヨル……などなどが見られリュジュンヨルの見本帳か?って感じでした。お得すぎる。リュジュンヨルのファンなので終始くちびるを噛みしめながら観ていました。そうじゃないと悲鳴を上げてしまう。

 まじめな話イルヒョンが誰と付き合ってるのが一番いいと思いましたか?私はやっぱチョンウソンかな……そもそもこのお名前もだいぶ意味不明ですよね、と思ったけど、ウソンってありふれた名前なんだろうか、いやそれでも……とにかく顔も育ちも頭もよい青年にチョンウソンという名前をつけるのはだいぶわかりみが強いです。わかる。

 

 

9.ジョジョ・ラビット

 新宿の東宝シネマズで見ました。

 これも私が書くまでもなく語りつくされているでしょうが……

 画面の作り方がすごくきれいで、衣装も小道具も家や街も、全部すごく美しくて、そのうえで画面の構成が、ほんとうにやりすぎでしょうと思うくらい美しくて、そのせいで美しさのためにやられていると思った画面作りがあとから効いてきたとき愕然とせざるを得なくなってしまった。お母さんの靴の話です。

 言いたいこと、とか考えたいことたくさんあるけど、ナチスや第二次大戦についてはそれこそ書かれたものがたくさんあるわけで、ちょっとせめてもうちょっと勉強してからまた考えましょう、と思うけど、つらくてこわいこと、ほんとうは全然考えたくもないわけで、でもかわいくておもしろい映画なら見たい、それにほんとうに誰も考えたくないから考えなくなったら……と思うと、やっぱ見てよかった、と思います。

 お母さんがお父さんを呼んできて、ジョジョを叱ったことについて喧嘩するところ、本当に大好き。靴紐両足で結んでしまって、私は帰るよ~っていうところも。

 凄惨な実話に涙すること、私は(私は!!!です ほかの人がどうしていようと私は全然何とも思いません 自分がすることについてです)できればやりたくない、なぜなら私は涙することによって気が楽になったり、気持ちよくなったりする、自分が苦しんでいることへの対処としてそのような生物的手法を取るのはいいが、他人の苦しみに関して外からそうやって消費するのは不誠実なやり方だ、と思うからなんですが、それなのでお母さんのところとか、侵攻してきた日のこと、エルサのこと全部とか、そもそもジョジョラビットはあくまでコメディの文法で作られていて、しかも悪趣味なのに悪趣味に開き直らない、どうなってんだか全然わからないけど、すごくバランスがすごくて、それだからいやで、こわいことでも、おもしろく描かれている、それだから私はしょっちゅうフィクションで泣くけど、でも全然泣かなかったのに、

 最後の最後にこれからどうする?って聞かれたエルサが、ちょっと黙って、そのときあっ踊るって言う!って気が付いて、そしたら突然涙が滝のように出てきてそのままエンドロールずっと泣いていた……

 

10.毒戦

 下高井戸シネマで見ました。5回目。

 去年の10月からずっとこいつに情緒ぐらぐらにされてこんなつもり全然なかったんでもうどうしようもない映画2019堂々の第一位です。公開期間のあいだ週1くらいで4回見て、3月3日に円盤出るけど、またやっぱ劇場で見たいと思ってたので、見れて本当にうれしかった。音の感じとかスクリーンの明るさとか大きさとか、劇場が変わると見え方も違うなと思って、それもおもしろかった。やっぱ好きです。こころをめきょめきょにされる。

 

 

 タイトルだけはメモしていたものの感想とか新鮮なうちに書いた方が絶対いいなということがわかりました。新鮮な感想に、あとから思ったことを追記して、それがよさそう。2月からはそうしたいです。

 平日帰りが遅くなってきて、2時間とかの映画観るのが難しくなってきた代わりに、おやすみの日は劇場に通ってしまう。映画のはしごも去年までは頭がごちゃごちゃになるのでなるべくしないようにしてたけど、工作とパラサイト、金の亡者たちとジョジョラビット、と2回やって、どっちも頭が飽和はしたけどうまいこと食べ合わせを考えれば意外といけるな、と思ったので、これからはたぶんやっちゃうな。

 2月もいっぱい映画を見たいです。